ふだんは見えない、「おいしい」の舞台裏へ
テーブルに並ぶ美しいお膳の、その一歩手前。広島県府中町の産婦人科・藤東クリニック併設レストラン「Porte Bonheur(ポルト ボヌール)」の厨房では、今日も朝から、まな板の音と揚げ物の軽やかな音が響いています。10月の厨房で仕込まれていたのは、神無月の御祝会席と、毎日のお食事。ふだんはなかなかご覧いただけない調理の舞台裏を、今月もご紹介します。

「幸福の扉」の、その奥で
Porte Bonheurは、フランス語で「幸福の扉」。ご出産を終えたお母様の御祝会席から、毎日のお食事、3時のおやつまで、当院の「食のホスピタリティ」はすべてこの厨房から生まれます。食の安全安心をモットーに、その季節にいちばん美味しい食材を厳選し、一皿ずつ手仕事で仕上げる——産後のお身体の回復を支える大切な医療の一部として、私たちは「食」に本気で向き合っています。
ステンレスの厨房に、神無月の活気
磨き込まれたステンレスの調理台には、仕込みを終えた食材のバットと、盛り付けを待つ器。白衣に帽子のスタッフが、それぞれの持ち場で黙々と手を動かします。御祝会席の前菜、お造り、強肴、そして毎日のお食事。たくさんのお膳が、この厨房からひとつずつ組み上がっていきます。
手仕事のクローズアップ
秋の山の幸を、ひとつずつ ― 毬栗と紅葉と銀杏。 白い紙の上に並ぶのは、細い糸のような衣をまとわせて揚げた、いがぐりに見立てた一品。そのとなりには紅葉のかたちのあしらいと、串に刺した翡翠色の銀杏。御祝会席の強肴に添える「秋の山」の主役たちを、菜箸でひとつずつ、そっと並べていきます。


器の中に、秋の箱庭を ― 前菜の盛り付け。 絵付けの四角い器に、鶴の蓋物、半熟の卵、棒寿司、海老、黒豆。料理長の指先が、器の中に小さな秋の箱庭をつくっていきます。ひとつの器に、いくつもの季節の味。蓋を開けたお母様の笑顔を思い浮かべながらの、静かな時間です。

炙りの香りを、ひと切れずつ ― 秋のお造り。 細長い白いお皿に、香ばしく炙ったお魚を、菜箸でひと切れずつ。皮目に格子の入った白身、やわらかな蛸を重ね、大葉と透きとおるつまの上に美しく盛り付けます。仕上げに、緑の柑橘と紫の小さな花、ひと筋の人参を添えれば、御祝会席のお造りのできあがりです。




揚げたての音 ― 魚のフライ。 黒い揚げ鍋の中で、衣をまとったお魚がパチパチと音を立てています。菜箸でそっと返しながら、きつね色に揚がるのを見守って。毎日のお食事の「魚のフライ」は、こうして揚げたてで仕上げられます。


器の支度と、片付けまで
棚には、青い線の入った白い小鉢がずらり。毎日のお膳に使う器も、料理に合わせてひとつずつ選んで並べます。お食事のあとには、トレーや器、鍋をひとつずつ、人の手でていねいに洗い上げて。器の支度から片付けまで、細やかなところまで手仕事です。


ガラスに浮かぶ、料理長の姿
ガラス越しにふと浮かぶのは、菜箸を手に盛り付けを続ける料理長の姿。「病院らしくない病院」を目指す藤東クリニックでは、厨房もまた、皆様に安心して召し上がっていただくための大切な空間です。清潔さと美しさを保つことが、その土台だと考えています。

いつか、この厨房の味を
紅葉を添え、魚を炙り、揚げたてを仕上げる——神無月の厨房から、今日も心を込めたお膳が生まれ、お母様のもとへ届けられます。藤東クリニックでのご出産の際には、この厨房が仕上げる「おいしい時間」を、どうぞ楽しみにいらしてください。
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