ここは本当に、産婦人科クリニックなのでしょうか

はじめて写真をご覧になった方は、きっと驚かれるはずです。土鍋から立ちのぼる湯気、漆黒の椀に咲く鱧の花、器の上で灯る「ほおずき」——。料亭の会席と見まがうこのお膳は、産婦人科クリニックの3階、ご出産を終えたお母様のために調えられた一皿一皿です。

藤東クリニックは「病院らしくない病院」を目指し、ホテルの設えのような空間づくりと、女性の楽しみのひとつである「食」へのこだわりを大切にしています。併設レストラン「Porte Bonheur」——フランス語で"幸福の扉"を意味するこの場所では、その季節にいちばん美味しい食材を厳選し、食の安全安心をモットーに、心を込めたおもてなしをご用意しています。

7月、暦の上では「文月(ふみづき)」。七夕の短冊に願いを込め、蝉の声とともに夏が本番を迎えるこの季節に、新しい命の誕生というかけがえのない瞬間を、旬の恵みでお祝いします。ご家族様もご一緒にお召し上がりいただける御祝会席、今月の献立をご紹介いたします。

2026年 文月 御祝会席 献立

  • 椀物 焼鱧 蓮根餅 陸若芽 蓴菜 梅肉 柚子
  • 前菜 瀧川寄せ(海老 とんぶり オクラ)/子持ち昆布/蟹と青瓜の黄身酢かけ/ヤングコーン白糸揚げ/姫栄螺/丸十レモン煮
  • 造里 鰹 鯛昆布〆 縞鯵 あしらい一式
  • 煮物 冬瓜鶏スープ煮 ミニ青梗菜
  • 強肴 黒毛和牛炭火焼き/鮎塩焼き 蓼酢/揚げ高野豆腐 ずんだ餡/ほおずき南瓜/焼茄子の水雲とろろかけ
  • 飯物 穴子と実山椒の土鍋ごはん 香の物
  • 甘味 夏菓のテリーヌ 氷菓添え
  • カフェインレス珈琲

椀物 ― 焼鱧 蓮根餅 陸若芽 蓴菜 梅肉 柚子

「梅雨の水を飲んで美味くなる」と言われる夏の主役・鱧(はも)。艶やかな黒塗りの蓋物を開けると、香ばしく焼き上げた鱧が牡丹の花のようにふわりと開き、澄んだお出汁の香りが立ちのぼります。もっちりとした蓮根餅、つるりと涼やかな蓴菜(じゅんさい)、そして紅一点の梅肉。ひと口ごとに、日本の夏が静かに広がる椀物です。

前菜 ― 涼を集めた、ガラスの上の小さな夏

涼しげなガラスの角皿に、夏の彩りを六品。愛らしい白鳥の蓋物を開けると、プチプチと縁起のよい「子持ち昆布」が顔をのぞかせます。水色の舟形の器には、海老とオクラ、「畑のキャビア」と呼ばれるとんぶりを寄せた「瀧川寄せ」。淡雪のような寄せ地に、滝の流れのような涼が宿ります。

桃色の小鉢には、蟹と青瓜にまろやかな黄身酢をとろりとかけて。殻ごと供される姫栄螺(ひめさざえ)は磯の香りを、輪切りの丸十(さつまいも)レモン煮は爽やかな甘酸っぱさを。そして白い糸をまとったように揚げた「ヤングコーン白糸揚げ」は、繊細な糸衣のサクサクとした軽い歯ざわりが楽しい一品。青紅葉があしらわれ、目にも涼やかな前菜です。

造里 ― 鰹 鯛昆布〆 縞鯵

三日月形の器に、夏の海の恵みを三種盛りで。皮目を香ばしく炙った鰹、旨みを引き出した鯛の昆布〆には可憐な花穂をあしらい、脂ののった縞鯵(しまあじ)には彩りの花を散らして。すだちをきゅっと絞れば、素材の甘みがいっそう際立ちます。紫蘇や紫芽とともに、見た目にも華やかなお造りです。

煮物 ― 冬瓜鶏スープ煮 ミニ青梗菜

「冬」の字を持ちながら、実は夏が旬の冬瓜(とうがん)。鮮やかな黄色に緑の唐草模様が映える蓋付きの碗に、鶏の旨みをたっぷり含ませた冬瓜と、シャキッと歯ざわりのよいミニ青梗菜を盛り込みました。翡翠色に炊き上がった冬瓜は、口の中でとろけるようなやわらかさ。おろし生姜の香りが、産後のお身体を内側からやさしく温めます。

強肴 ― 「寿」の一皿に、夏の力を盛り込んで

大皿に「寿」の文字が祝いの心を伝える、御祝会席のメインディッシュ。清流の女王・鮎は、姿のまま塩焼きにして蓼酢(たです)で。頭から尾まで美しく焼き上がった姿は、天然の川を泳ぐようです。低温でしっとりと火を入れた黒毛和牛の炭火焼きは、ロゼ色の断面に照りのあるソースをまとわせて。

そして目を引くのが、オレンジ色の実「ほおずき」を器に見立てた「ほおずき南瓜」。7月の風物詩・ほおずき市を思わせる遊び心あふれる一品です。枝豆をすりつぶした鮮やかなずんだ餡をのせた揚げ高野豆腐、香ばしい焼茄子にとろりとした水雲(もずく)とろろをかけた小鉢と、夏の滋味が勢揃いします。

飯物 ― 穴子と実山椒の土鍋ごはん

御祝会席のクライマックスは、目の前で蓋を開ける土鍋ごはんの演出から。ふっくらと炊き上げた土鍋の蓋を持ち上げれば、湯気とともに、ふわりと穴子の香ばしさと実山椒の爽やかな香りが立ちのぼります。広島の夏に欠かせない穴子の旨みがごはん一粒一粒にしみわたり、ピリリと弾ける実山椒があとを引く美味しさ。木杓子でよそう瞬間まで、五感で味わうひとときです。彩りの香の物を添えて。

甘味 ― 夏菓のテリーヌ 氷菓添え

食後のお楽しみは、太陽の色をそのまま閉じ込めたような、夏の果実のテリーヌ。マンゴーの濃厚な甘みとオレンジの爽やかさが幾層にも重なり、「PORTE BONHEUR」のチョコレートプレートが特別な一皿であることをそっと告げます。寄り添うのは、すっきりと冷たい氷菓。香ばしいクランブルの食感がアクセントです。

お飲み物は、授乳中のお母様にも安心してお楽しみいただけるカフェインレス珈琲。ターコイズブルーの器で、ゆっくりとした午後のひとときを。

新しい命とともに迎える、はじめての夏に

椀物から甘味まで——お膳の全景をご覧いただくと、7月の御祝会席がひとつの「夏の物語」になっていることがお分かりいただけるはずです。七夕の夜空、清流を泳ぐ鮎、ほおずき市の灯り、土鍋から立ちのぼる湯気。日本の夏の情景を、一皿ずつ丁寧に紡ぎました。

御祝会席は、ご出産を頑張られたお母様への、私たちからの心からの「おめでとう」です。ご家族様とご一緒に、赤ちゃんの誕生を祝う思い出の一コマになれば、これほど嬉しいことはありません。

藤東クリニックは、女性のライフサイクルに寄り添った医療を目指し、医療施設としての機能はもちろん、女性視点に立った空間づくりや食のホスピタリティを大切にしています。FUJITO Galleryの写真から、当院の空気感を感じていただき、「ここでお産をしたい」と思っていただけたら幸いです。

Porte Bonheur——幸福の扉は、いつでも皆様のために開かれています。

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