ふだんは見えない、「おいしい」の舞台裏へ
テーブルに並ぶ美しいお膳の、その一歩手前。広島県府中町の産婦人科・藤東クリニック併設レストラン「Porte Bonheur(ポルト ボヌール)」の厨房では、今日も朝から、まな板の音とお出汁の香りが立ちのぼっています。11月の厨房で仕込まれていたのは、霜月の御祝会席と、毎日のお食事。ふだんはなかなかご覧いただけない調理の舞台裏を、今月もご紹介します。

「幸福の扉」の、その奥で
Porte Bonheurは、フランス語で「幸福の扉」。ご出産を終えたお母様の御祝会席から、毎日のお食事、3時のおやつまで、当院の「食のホスピタリティ」はすべてこの厨房から生まれます。食の安全安心をモットーに、その季節にいちばん美味しい食材を厳選し、一皿ずつ手仕事で仕上げる——産後のお身体の回復を支える大切な医療の一部として、私たちは「食」に本気で向き合っています。
ステンレスの厨房に、霜月の活気
磨き込まれたステンレスの調理台には、仕込みを終えた食材の容器やバットがずらり。白衣のスタッフが、それぞれの持ち場で黙々と手を動かします。御祝会席の前菜やお造り、強肴、そして毎日のお食事。たくさんのお膳が、この厨房からひとつずつ組み上がっていきます。


手仕事のクローズアップ
一本ずつ、松葉を並べて ― 吹き寄せの支度。 白いバットに、先を黒く飾った細い串を一本ずつ並べていきます。これは、御祝会席の強肴「吹き寄せ盛り」で、銀杏を刺す松葉の串。お皿の上の小さな秋の景色は、こうした細やかな支度から生まれます。

昆布の旨みをまとわせて ― お造りの仕込み。 昆布で包んで寝かせたお魚を、そっと取り出して。白身のお魚は、包丁でひと切れずつ切り分けます。お皿には大葉と透きとおるつまを敷き、紫の花穂、わさびをピンセットで小さく添えて。御祝会席のお造りは、こうして整えられていきます。



彩り野菜を、お肉でくるりと ― 野菜巻き。 霜降りの美しい牛肉で、彩り野菜をくるりと巻いて、形を整えます。焼き上げて照りのあるたれをからめれば、毎日のお食事の「牛肉の野菜巻き」のできあがりです。


もっちりと、手のひらで ― 大福づくり。 粉をまとった手のひらで、白いお餅をもっちりと包んでいきます。御祝会席の甘味「栗大福モンブラン仕立て」の土台になる大福です。指先で小さな部分まで、ひとつずつていねいに。


土鍋のスタンバイと、器の支度
コンロの上には、ぽってりとした土鍋。御祝会席のむかご土鍋めしを炊き上げる土鍋が、出番を待っています。藍の線が入った小さな器には、澄んだお出汁を一杯ずつ。盛り付けを終えた器には、乾かないようにラップをかけて、きれいに並べておきます。



見せる厨房と、手入れの行き届いた道具
ダイニングのカウンターからは、ガラス越しに厨房の様子がのぞけます。調理台には、よく手入れされた包丁と、季節の器。「病院らしくない病院」を目指す藤東クリニックでは、厨房もまた、皆様に安心して召し上がっていただくための大切な空間です。清潔さと美しさを保つことが、その土台だと考えています。


いつか、この厨房の味を
松葉を並べ、昆布で締め、お肉で野菜を巻き、大福を包む——霜月の厨房から、今日も心を込めたお膳が生まれ、お母様のもとへ届けられます。藤東クリニックでのご出産の際には、この厨房が仕上げる「おいしい時間」を、どうぞ楽しみにいらしてください。
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