十五夜の月明かりに、新しい命を祝う ― 藤東クリニック「2026年 長月 御祝会席」
ここは本当に、産婦人科クリニックなのでしょうか
稲穂を挿した百合根の月見団子、松葉に見立てた蕎麦の上に盛られた秋の山の幸、土鍋の蓋を開ければ秋刀魚とみぞれの香り——。料亭の会席と見まがうこのお膳は、産婦人科クリニックの3階、ご出産を終えたお母様のために調えられた一皿一皿です。
藤東クリニックは「病院らしくない病院」を目指し、ホテルの設えのような空間づくりと、女性の楽しみのひとつである「食」へのこだわりを大切にしています。併設レストラン「Porte Bonheur(ポルト ボヌール)」——フランス語で"幸福の扉"を意味するこの場所では、その季節にいちばん美味しい食材を厳選し、食の安全安心をモットーに、心を込めたおもてなしをご用意しています。
9月、暦の上では「長月(ながつき)」。夜が少しずつ長くなり、空気が澄んで月が美しく見える季節です。今年の十五夜は9月25日。お月見の団子と稲穂、毬栗に翡翠の銀杏、秋刀魚に柿、そして葡萄——秋の実りをぎゅっと集めた今月の御祝会席は、新しい命の誕生を「実りの秋」の恵みでお祝いします。ご家族様もご一緒にお召し上がりいただける、今月の献立をご紹介いたします。

2026年 長月 御祝会席 献立
- 椀物 鱧の葛打ち 白茄子 たもぎ茸 梅肉 柚子
- 前菜 百合根の月見団子 うさぎ 稲穂/子持ち昆布奉書巻き/紅葉豚低温調理 黒酢ソース/魳の炙り寿司/秋野菜お浸し/無花果(蓬莱柿)の白酢クリーム
- 造里 間八昆布締め 地蛸オクラ添え 炙りサーモン いくら あしらい一式
- 煮物 すっぽん茶碗蒸し 生姜
- 強肴 黒毛和牛炭火焼き/地鶏の洋風幽庵焼き/松風/毬栗/紅葉麩/翡翠銀杏/松葉蕎麦/柿グラタン/丸十蜜煮
- 飯物 秋刀魚みぞれごはん 赤出汁 香の物
- 甘味 フロマージュ・ブランムース ピオーネコンポート
- カフェインレス珈琲
椀物 ― 鱧の葛打ち 白茄子 たもぎ茸 梅肉 柚子
夏の名残の鱧に、葛をまとわせてつるりと。艶やかな黒塗りの蓋物を開けると、澄んだお出汁の香りとともに、白く柔らかな鱧が姿を見せます。添えるのは、とろりと炊いた白茄子と、黄金色の傘がひらひらと美しいたもぎ茸。夏から秋へと季節が移ろう、まさに長月らしいひと椀です。紅一点の梅肉と、ひとひらの柚子が、香りの余韻を残します。


前菜 ― 朱塗りの盆に、お月見の景色を
朱塗りの角盆に金の市松を敷き、六品の秋を盛り込みました。主役は、十五夜にちなんだ「百合根の月見団子」。ほくほくの百合根を丸めて満月に見立て、稲穂を挿し、うさぎのあしらいを添えて——器の中に、小さなお月見の景色が広がります。
子孫繁栄の縁起物・子持ち昆布は、奉書に見立てた大根で上品に巻いて。低温でしっとりと火を入れた紅葉豚には、コクのある黒酢ソースを。皮目を香ばしく炙った魳(かます)は棒寿司に仕立て、はじかみを添えました。ほうれん草としめじの秋野菜お浸しはやさしい出汁の味わい。そして、旬の無花果「蓬莱柿(ほうらいし)」には、まろやかな白酢クリームをとろり。甘さと酸味が、食欲の秋の幕開けにふさわしい一品です。








造里 ― 間八昆布締め 地蛸オクラ添え 炙りサーモン いくら
染付の角鉢に、秋の海の恵みを。昆布の旨みを移した間八(かんぱち)は、脂がのりはじめる秋ならではの味わい。やわらかな地蛸には、とろりとしたオクラを添えて。皮目を香ばしく炙ったサーモンには、宝石のようなイクラをたっぷりと。菊の花をかたどった小鉢に盛られたイクラは、秋の彩りそのものです。すだちをきゅっと絞って、花穂と紫蘇とともにお召し上がりください。


煮物 ― すっぽん茶碗蒸し 生姜
蓋のつまみを枝に見立てた、秋らしい茶碗蒸しの器。蓋を開けると、琥珀色に澄んだすっぽんの出汁が、ふるふるの茶碗蒸しを包んでいます。古くから滋養の食材として大切にされてきたすっぽんの旨みを、産後のお身体にやさしく。おろし生姜の香りが、身体の内側からぽかぽかと温めてくれます。朱塗りの匙で、ひとさじずつゆっくりと。


強肴 ― 松葉の上に、秋の山の幸を
御祝会席のメインディッシュは、白い大皿いっぱいに広がる「秋の山」。揚げた蕎麦を松葉に見立てて敷き、その上に秋の恵みを盛り込みました。
しっとりロゼ色の黒毛和牛炭火焼きには、照りのあるソースを。地鶏は洋風の幽庵焼きに仕立て、香ばしく。けしの実をまとった松風は、しっとりとした食感のお祝いの一品です。緑の糸衣をまとった毬栗、翡翠色に輝く銀杏、鮮やかな黄色の丸十蜜煮、そして紅葉麩と青紅葉の彩り。白いココットには、旬の柿をグラタンに仕立てて——果物の甘みとチーズのコクが意外なほど好相性です。桃色のはじかみが、秋の山にひと筋の華やぎを添えます。









飯物 ― 秋刀魚みぞれごはん 赤出汁 香の物
御祝会席のクライマックスは、目の前で蓋を開ける土鍋ごはん。今月は、秋の味覚の代表・秋刀魚です。ふっくらと炊き上げた土鍋の蓋を持ち上げると、湯気とともに秋刀魚の香ばしさがふわり。皮目を焼いた秋刀魚に、雪のような大根おろし——「みぞれ」の名のとおり、秋の深まりを告げる一鍋です。木杓子でよそったごはんに、秋刀魚の旨みと大根おろしのさっぱり感が絶妙に混ざり合います。赤出汁と彩りの香の物を添えて。





甘味 ― フロマージュ・ブランムース ピオーネコンポート
食後のお楽しみは、グラスに重ねた秋のデザート。なめらかなフロマージュ・ブランのムースに、ルビー色に輝くピオーネのコンポートを重ねました。葡萄の甘酸っぱさとチーズのやさしいコクが、口の中でほどけていきます。レースのようなチュイルと「PORTE BONHEUR」のチョコレートプレートが、特別な一皿であることをそっと告げます。
お飲み物は、授乳中のお母様にも安心してお楽しみいただけるカフェインレス珈琲。長くなりはじめた秋の夜長に、ゆっくりとしたひとときを。




新しい命とともに迎える、はじめての十五夜に
椀物から甘味まで——お膳の全景をご覧いただくと、9月の御祝会席がひとつの「実りの秋の物語」になっていることがお分かりいただけるはずです。月見団子と稲穂、松葉の上の毬栗と銀杏、土鍋の秋刀魚、グラスの葡萄。日本の秋の情景を、一皿ずつ丁寧に紡ぎました。




御祝会席は、ご出産を頑張られたお母様への、私たちからの心からの「おめでとう」です。ご家族様とご一緒に、赤ちゃんの誕生を祝う思い出の一コマになれば、これほど嬉しいことはありません。赤ちゃんと見上げるはじめての名月が、やさしい光でありますように。
藤東クリニックは、女性のライフサイクルに寄り添った医療を目指し、医療施設としての機能はもちろん、女性視点に立った空間づくりや食のホスピタリティを大切にしています。FUJITO Galleryの写真から、当院の空気感を感じていただき、「ここでお産をしたい」と思っていただけたら幸いです。
Porte Bonheur——幸福の扉は、いつでも皆様のために開かれています。









